ボーイスカウト運動のはじまり
現在、ボーイスカウト運動には、世界の161の国と地域が正式に加盟しています。
約3,000万人が参加するこの世界規模の青少年教育運動は、小さなキャンプから
始まりました。
 1907年8月、イギリスのドーセット州にあるブラウンシー島で、小さな実験
キャンプがおこなわれました。参加したのは、20人の少年達。指導したのは、ロ
バート・ベーデン−パウエルという名のイギリス陸軍士官でした。
 ベーデン−パウエルは、将来のイギリスを担う青少年が健全で明るく逞しく成長
するためには、どうしたらよいかを考え、スカウト運動の構想を固めようとしてい
ました。その構想を実験するためのキャンプをおこなったのです。
 結果は、大成功でした。少年達は仲間を作り協力しながら野外でのいろいろな活
動やゲームをおこない、キャンプ生活を楽しみました。
 この実験キャンプの成果を受けて、1908年1月にベーデン−パウエルは、
「スカウティング・フォア・ボーイズ」という6分冊からなる本を出版しました。
この本は、出版されるとたちまちベストセラーとなりました。
 この本を読んだ少年達が自分達で班や隊をつくり、イギリス各地でスカウト活動
を始め、またたく間にイギリス全土に広がっていきました。そして数年のうちに世
界中に広まっていきました。1910年にベーデン−パウエルがカナダとアメリカ
を訪問した際には、すでに両国ともスカウト運動が始まっていました。

 ベーデン−パウエルは、後年次のように語っています。
「この運動を始めたのは、私ではない。少年達だ。私は本を書いたに過ぎない。」
 ベーデン−パウエルによる20名の実験キャンプと一冊の本。これこそがスカウト
運動のはじまりです。
創始者
ロバート・ベーデン−パウエル
ブラウンシー島での実験キャンプ